パーキンソン病に伴う自律神経障害(便秘、頻尿、立ちくらみ)
パーキンソン病とは、体の動かしにくさ、手足のふるえ、身体のこわばり、バンスがとりにくいなどの運動症状が特徴的な病気ですが、他にも便秘や頻尿などの自律神経障害やうつ症状などの精神症状も現れることがあります。 今回は、自律神経障害について紹介させて頂きます。
自律神経とは自分の意志でコントロールすることが出来ない神経で、具体的には、運動した時や興奮した時に自分で脈を早くしようとしなくても、勝手に脈が早くなっているのは自律神経の働きによるものです。
便秘
パーキンソン病患者さんの7〜9割が便秘を経験している
1日1回か2日に1回くらいの排便が目安
運動量が少ないとお腹の刺激が弱まるために便秘傾向となってしまうため、積極的に散歩などの運動を心がけるのが有効とされます
食事については、便が固くならないように肉食に偏らずに、野菜類や食物繊維の摂取を心がけ、こまめに水分補給を行うことが大事です
運動や食事でも便秘が良くならない場合は、薬が必要となります
薬には、便を柔らかくするような薬と腸を刺激して排便を促す薬となります
腸を刺激して排便を促す薬は長期間使用することにより、効果が落ちてくることがありますので、まずは便を柔らかくするような薬が良いとされます
頻尿
排尿が近くなる頻尿は、パーキンソン病患者さんだけではなく、70歳以上の4人に1人にあるとされています
特に、十分におしっこがたまる前にトイレに行きたくなる過活動膀胱が多いようです
薬による治療としては、おしっこを出しやすくして膀胱に尿が残らないようにして、トイレに行く回数を少なくする薬とおしっこを出にくいようにしてトイレに行く回数を減らす薬があります
おしっこを出にくいようにする薬は、抗コリン薬といってアセチルコリンの働きを抑えることによって効果を発揮します
アセチルコリンは神経伝達物質の一つですが、記憶に関係する物質であり、アルツハイマー型認知症に関係します
よって、身体の動きと物忘れとの関係をみながら使用を考えますので、主治医に相談されることをおすすめします
立ちくらみ、ふらつき
立ち上がった時に血圧が下がることにより、めまいやふらつきを起こす症状です
朝起きるとき、お風呂から上がるとき、トイレから立ち上がるときに多いですので、そのような時は特に注意されて下さい
対策としては、立ち上がる前に脚を少し動かして、筋肉を動かすことが良いとされます
これは、動かすことにより血管が刺激され、脚の血液を上に押し上げる効果が期待できるからです
ほかに、普段から枕を少し高くして寝ると身体の血管に持続的に圧力が加わって血管の収縮力がよくなるという考え方もあります
むくみの対策にもなりますが、強めのストッキング(弾性ストッキング)を使用することにより、脚の血管を引き締めるのも良いと思います