認知症・物忘れ外来
認知症とは
認知症とは、さまざまな原因によって脳の働きが悪くなったり、脳の細胞が死んでしまったりしたために障害が起こり、日常生活や社会生活に支障を生じている状態で、意識障害がないときにみられる状態を言います。
脳には、人間の活動をコントロールする司令塔の役目があります。それがうまく働かないことによって、精神や体の動きがスムーズにいかなくなります。
認知症早期発見のポイント
ご家族や身近な方で、もの忘れが増えてきたと感じることはありませんか。
認知症のサインを見逃さず、早めに対応することで、症状を改善したり進行を遅らせたりすることができます。早期発見・早期治療が重要です。
こんな症状に気づいたら、早めに受診しましょう。
- 何度も同じことを言ったり聞いたりする
- 洋服をうまく着られなくなった
- 置き忘れやしまい忘れが目立つ
- 夜中に急に起きだして騒いだ
- 物の名前が出てこなくなった
- よく知っている場所で道に迷う
- 計算の間違いが多くなった
- 薬の管理ができなくなった
- だらしなくなった
- ささいなことで怒りっぽくなった
- 財布を盗まれたと言う
- 鍋を焦がしたり、水道を閉め忘れたりする
認知症の原因となる疾患
認知症の診断と治療方法
まずは、患者さまやご家族からお話をお聞きします。
その後、触診による神経診察、簡単な認知機能評価、血液検査、頭部MRI検査などを行い、診断をさせていただきます。
診断結果にもとづいて、患者さまやご家族に最適な治療について説明し、ご了解いただいた後に治療を開始します。
また、必要に応じて、専門機関への紹介をしております。まずはご家族だけでも構いませんので、お気軽にご相談ください。
VSRAD
- 青色が萎縮した部分で、青色のある場所が異なる
MRI画像を使って、脳の萎縮度をみる検査【VSRAD(ブイエスラド)】によって、早期アルツハイマー型認知症診断の支援が可能です。アルツハイマー型認症をMRI画像によって診断ができるようになると早期治療につながり、結果としてアルツハイマー型認知症の進行を遅らせることが期待できます。
アルツハイマー型認知症は、もの忘れの進行とともに、記憶に関係する海馬という脳の部分が萎縮します。VSRADはこの萎縮の程度を検査します。
コウノメソッド
当院は「コウノメソッド」による認知症診療を取り入れています。
コウノメソッドは、患者さまだけではなく介護者さまも同時に救う処方(興奮系に作用する中核症状治療薬は少量処方、同時に抑制系薬剤も処方するなど)が特徴です。患者さまの状態に合わせて薬を適切に使用し、適宜サプリメントや点滴での治療も行います。
おばた内科クリニックにおける認知症に対するリハビリテーションの有効性について
一人ひとりに応じた服薬調整や有酸素運動、認知機能訓練が必要です。おばた内科クリニックでは、服薬調整だけでなく認知症予防体操や運動療法などのリハビリテーションも実施しており、統計学的にも一定の効果を得ています。
効果には個人差がありますが、認知症は生活習慣病のひとつとも言われており、各個人に応じたリハビリプログラムを立案し、生活習慣を改善し、認知症やその他の病気にならない体づくりをしてみませんか?
大切なのは、生活習慣の改善です。
【対象と方法】
おばた内科クリニックかかりつけの認知症患者さま(アルツハイマー型認知症)で、薬物治療群とリハビリテーション群において、治療開始前と治療開始3ヶ月後の長谷川式簡易認知症スケールでの変化を検討する。
薬物治療群:薬のみの治療の患者さま、12名
リハビリテーション群:薬の治療に加え、リハビリテーションを受けていただいている患者さま、10名
長谷川式簡易認知症スケール
30点満点のうち、20点以下で認知症の可能性が高まるとされる
認知症と確定している場合は、「20点以上で軽度」・「11~19点で中等度」・「10点以下で高度」と判定する
【結果・考察】
認知症は一旦発症してしまうと、何もせずに良くなることは難しいです。
認知症の原因や病状に合わせて薬を調整することで、進行を遅らせる事が期待できますが、薬が合わない事もあります。
当クリニックでの結果でも、薬を服用して頂いても悪化してしまった患者さまがいらっしゃいました。
一方、リハビリテーションを受けて頂いた患者さまは、今回の検討では誰一人悪化することなく、改善されました。
全ての患者さまがリハビリテーションで悪化しないとは言えませんが、副作用を心配する必要がなく、運動機能の維持・向上にも繋がりますので、積極的に取り入れることが望ましいと考えます。
認知症と診断されたら
患者さんに行って頂きたいこと
認知症発症には生活習慣が関係している事が分かってきました。
生活習慣を改善し、現在お困りの症状を改善し、今後の症状進行を予防しましょう!
具体的には
- 知的活動
読書など頭を使うことを心がける - 有酸素運動
週に3度、1回30分程度の散歩やサイクリングを心がける - 食生活
サバやイワシのような青魚や野菜、果物摂取を心がける
サプリメント;フェルガード、ココナッツオイル、プロルベインDR
介護家族に行って頂きたいこと
- 家族内で介護分担を決める、一人の家族だけに介護を任せない
- 介護認定を受けるために申請を行う
申請が困難な場合は代理申請がありますので、お声掛け下さい
訪問調査時には、
普段出来ないことまでがんばってみせる
出来ないことを、「できる」と言ってしまう
などが見られますので、前もってメモなどに記載して下さい
- デイケア、デイサービス、ショートステイなど介護保険サービスを利用しながら介護を進める
介護家族にも休養が必要です。頑張りすぎないで下さい - 薬の管理を患者さんだけに任せず、必ず家族もかかわる
薬の管理がお一人で出来るのは、初期段階ですら半数程度です - 患者さんに自動車の運転をさせないように対策を講じましょう
- 医療機関に通院する際には可能な範囲で家族が同行する
院長からのメッセージ
認知症は、今や誰がなってもおかしくない時代です。寿命が伸びたことによって年々増えており、65歳以上の4人にひとりが認知症とその予備軍といわれています。
早めに治療をすれば改善したり、進行を遅らせたりすることができますので、もの忘れの症状が気になりだしたら、認知症・物忘れ外来を受診し、年齢に伴うものなのか、病気に伴うものなのか調べましょう。