頭を動かすと「めまい」が
めまいでお困りの方は多いと思います。
そのお困りのめまいは、めまいを起こす原因として最も多い「良性発作性頭位めまい症」かもしれません。
今回は、「良性発作性頭位めまい症」について、お話をさせて頂きます。
良性発作性頭位めまい症:Benign paroxysmal positional vertigo (BPPV)
どのような人に多い?
めまいを引き起こす病気として最も多く、女性に多いです。
また、他のめまいの病気と比較して高齢者に多いとされます。
めまいの原因は?
耳には蝸牛と呼ばれる音に関係する器官と半規管と呼ばれるバランスに関係する器官があります。
半規管は3本あることから一般的には三半規管と呼ばれます。
この蝸牛と三半規管の間に体の方向などを感知する耳石器と呼ばれる器官があります。
耳石器には耳石というカルシウムの粒が重要な働きを担いますが、何らかのきっかけで耳石が剥がれ落ち、三半規管のいずれかに落ち込むことによりめまいが引き起こされます。
めまいの特徴は?
めまいの特徴は、頭を動かしたときにめまいが誘発されることで、具体的には、朝目が覚めたときに寝返りをうったときなど左右に動かしたときや、髮を洗うときや目薬をさすなどの上下に動かしたときに出現しますが、一般的には左右に動かしたときに多いです。
めまいは、ぐるぐる回るような回転性のめまいで、めまいの時間は1分以内と短いことが多いですが、頭を動かすとめまい繰り返す事が多いです。
吐き気や嘔吐を伴うことがありますが、耳鳴りや難聴などの症状はありません
良性発作性頭位めまい症の分類
良性発作性頭位めまい症は、原因となる耳石がどこに入り込むかによって後半規管、外側半規管、上半規管型(前半規管)に分類されます。
8割から9割程度が後半規管とされ、上半規管(前半規管)は極めてまれとされます。
良性発作性頭位めまい症は薬を使わずに、耳石を戻す運動を行うことにより改善が期待できます。
耳石の入り込んだ場所によって運動方法が異なりますので、まず耳石がどこに入り込んだかを調べます。
後半規管と外側半規管の見分け方
注意点は首を動かしますので、頚椎椎間板ヘルニアなど首の病気がある方には注意が必要です。
また、見分け方を行うためにめまいが増悪することがありますが、1分ほどで改善します。
後半規管へ入り込むことが多いですので、まずは後半器官への入り込みがないかの確認を行います。
Dix-Hallpike test (後半規管)
ベッドの上に座った状態で頭を左右のどちらかに45度回し、頭をしっかりと支えながら1秒から2秒ほどで頭を下に下ろします。
右側に耳石が入り込んでいた場合、地面向きの回るような眼球の動き(眼振)が観察されます。
潜時といって眼球が揺れるような動き(眼振)が出現するまでに時間がかかることがありますので、10秒から20秒ほど観察します。
Dix-Hallpike testで反応がなかった場合は、外側半規管への入り込んだ可能性がありますので、次の方法を行います。
Supine roll test(外側半規管)
仰向けに寝て、まず頭を右に向け、眼球が地面に向かうような下向きに揺れるような動き(眼振)がないかを確認します。
次に左に向けて、また眼球が地面に向かうような下向きに揺れるような動き(眼振)がないかを確認します。
揺れるような動きが強い方に入り込んでいます。
潜時といって眼球が揺れるような動き(眼振)が出現するまでに時間がかかることがありますので、10秒から20秒ほど観察します。
*クプラ型は天井に向かうような上向きに揺れ、揺れるような動きが弱い方に入り込んでいて、治りが悪いと言われています。
どのようにすれば治る?
耳石が入り込んだ場所が分かりましたら、耳石を戻す運動を行い、めまい症状の改善を期待します。
Epley法
右側の後半規管に耳石が入り込んでいた場合
理想は、Dix-Hallpike testの際に、地面向きの回るような眼球の動き(眼振)を認めた場合、そのままEpley法を行うのが望ましいです。
1.耳石が右側に入り込んでいますので、まず頭を右側に45度向いてもらいます。
2.その後頭を右側に向いたまま休んでもらいます。
3.その次は頭を左側に45度回します。
4.数十秒から1分ほど経ちましたら体を左側に倒して、耳が地面を平行になるようにします。
5.最後に体を起こします。
Gufoni法
1.ベッドの上に座って頂き眼球の揺れるような動きを確認します。
2.眼球の揺れるような動きが弱い側に横向きに休んでもらいます。
その姿勢を2分ほど行っていただきます。
3.揺れるような動きが地面を向く方向であれば、横になったまま頭を地面向きに45度向けてもらいます。
なお、揺れるような動きが天井を向く方向であれば、横になったまま頭を天井向きに45度向けてもらいます。
その後、座った姿勢に戻っていただきます。