レカネマブって何?
レカネマブは、アルツハイマー病の新薬です。
薬の効果などは以前のブログを参照されて下さい。
本日は、レカネマブはアルツハイマー病の新薬であるのは分かった、知っているのだけど、自分にこの薬が使える?ご家族がアルツハイマー病の診断で治療中であるけど使える?など、具体的な内容についてお話をさせていただきます。
POINT:薬の適応ある?
レカネマブは、「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」が適応となっています。
注意点は「認知症=この治療の適応ではない」という事です。
具体的に、適応があるかの流れについては下記にようになります
1.認知機能の検査で下記条件を満たす
・認知機能評価:MMSEスコア22点以上
・臨床認知症尺度:CDR全般スコア0.5または1
2.頭部MRI検査で下記を認めない
・血管原性脳浮腫
・5個以上の脳微小出血
・脳表ヘモジデリン沈着症または1cmを超える脳出血が認められる患者
3.アミロイドPETあるいは脳脊髄液検査でアミロイドβを示唆する所見を確認する
先日、福岡西南部、認知症診療ネットワークでの会議に参加し、臨床認知症尺度については当院のような診療所では実施が難しいこともあり、認知機能評価の基準を満たし、頭部MRI検査で異常がなければ、初期導入施設である福岡大学病院さまに紹介が可能とのことでした。
*今後、変更の可能性あります
POINT:費用は?
テレビ報道などでもありますように、レカネマブは非常に高価な薬剤ですので、高額療養費制度の利用が必須と考えます。
レケンビを使った治療の医療費は、体重が51〜60kgの患者さんで、MRI検査など含め、おおよそレケンビの薬剤費約30万円/月+通院治療にかかる診療費・検査費など約3万円/月の約33万円/月となります。
公的医療保険を使用しても、70歳未満で3割負担の場合は約99,000円の費用となります。
高額療養費制度を利用することにより、自己負担額は57,600円になり、4回目以降は多数回該当の制度により、上限額が44,400円となり更に負担が軽減されます。
ひと月の上限額(自己負担限度額)は年齢(70歳以上か69歳以下か)や所得によって区分され、区分ごとに計算式等が異なります。
アミロイドβの存在を示すアミロイドPETあるいは脳脊髄液検査も必要となりますが、アミロイドPETも高額な検査となります。制度の詳細や基準額、手続きなどは市町村や健康保険組合の窓口に事前にお問い合わせすることをお勧めします。
POINT:今通院している病院、診療所・クリニックで治療してもらえる?
初回導入施設あるいは、フォローアップ施設(初回投与後6ヶ月以降)での治療が可能です。
詳細は今回省かせていただきますが、初回導入施設は検査体制やチーム体制、医師要件などから大学病院などが対象となります。
フォローアップ施設は、副反応が投与開始から6ヶ月以内が多いことから、副反応の危険が減った投与開始から6ヶ月以降が対象となります。
施設要件や医師要件は危険が副反応の危険が減っていることから、初回導入施設と比較し緩和されていますが、アルツハイマー病の診療に関連する4学会(日本神経学会、日本老年学会、日本精神神経学会、日本脳神経外科学会)のいずれかの専門医の認定を有していることや頭部MRI検査装置のことがありますので、かかりつけの医師に相談されて下さい。
*おばた内科クリニックは初回投与6ヶ月以降から投与可能なフォローアップ施設です。
POINT:実際の投与は?投与についての注意点は?
原則の治療期間は18ヶ月間となり、2週間毎に1時間かけて点滴で投与します。
注意すべき副反応として、アミロイド関連画像異常(ARIA)があります。
脳からアミロイドβが除去されるときに、一時的に体液や血液が血管の外に漏れることにより、脳がむくんだり、出血することがあります。
ARIAが起こっても症状が出ないことが多いですが、まれに頭痛、錯乱、視覚障害、めまい、吐き気、歩きにくさなどが出現することがありますので、このような症状が出現した場合は、すぐにかかりつけにご相談されて下さい
そのため、このARIAが起こっていないか、定期的にMRI検査が必要となります。
目安として開始前、5回目の投与前(投与開始後2ヶ月までを目安)、7回目の投与前(投与開始後3ヶ月までを目安)、14回目の投与前(投与開始後6ヶ月までを目安)、以降は6ヶ月毎となります。
ほか、血液を固まりにくくする薬や、血栓が出来るのを防ぐ薬や血栓を溶かすような薬と一緒に使用すると出血の危険が高まりますので、そのような薬を服用されている患者さまは医師に相談されて下さい。
ワルファリンカリウム、アスピリン、クロピドグレルなど
以前のブログ