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高血圧治療は、認知症リスクを下げる?

[2024.04.20]

高血圧の患者さんに適切な血圧治療を行うことは、認知症のリスクを下げるとされています。

一方で高齢者に対する高血圧治療にも同様の効果が得られるかについては不明でしたが、イタリアのMilano-Bicocca大学のFederico Rea氏らは、「高齢者に対する血圧治療が、認知症のリスク低下と関連する」ことを報告しました。

なお、この関連や85歳以上の高齢者やフレイルの患者にも同様の結果でした。

*フレイルとは?

健康な状態と要介護状態の間に位置する状態で、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態を指します。

 

方法

2009年から2012年の間に降圧薬の服用を開始したイタリアのロンバルディア州の65歳以上の患者さん215,547人を対象に研究。

2019年までの追跡期間中に、13,812人(年齢77.5±6.6歳、男性40%)が認知症またはアルツハイマー病を発症。

各症例に対して、性、年齢、臨床状態をマッチさせた対照被験者5人を選択し、降圧剤との関連を検討。

 

結果

・降圧薬への曝露は認知症リスクと逆相関していた。

・曝露が非常に少ない患者と比較して、曝露が少ない患者で2%(95%信頼区間:-4〜7%)、中間的な患者で12%(同:6〜17%)、多い患者で24%(同:19〜28%)のリスク低下がみられた。

・85歳以上の高齢者やフレイルの患者さんにも同様の結果であった

*約80%の患者さんが1剤から治療を開始しており、最も頻度の高い単剤療法はレニン・アンジオテンシン系遮断薬であった。また、2種類の薬剤を使用する場合はレニン・アンジオテンシン系遮断薬と利尿薬であった。

結論

高血圧治療は、85歳以上の高齢者やフレイルの患者さんの認知症のリスクを下げることが期待でき、高血圧は脳梗塞や脳出血などの脳血管障害や心筋梗塞などの心血管障害のリスクにもなるため、食事や運動療法で高血圧の治療が十分でない場合は、積極的な薬物治療が必要と考えます。

 

出典

Risk of Dementia During Antihypertensive Drug Therapy in the Elderly 

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