転倒を減らすのに必要な運動量は?
世界保健機関(WHO)は、心身の健康のために高齢者に1週間で150から300分の運動を勧めています。
これまで運動量と転倒あるいは転倒に伴う怪我との関連についての報告には一貫性がありませんでしたが、オーストラリアの研究チームより、高齢女性における運動量・種類と、怪我を伴わない転倒および怪我を伴う転倒との間に関連性があるか報告されました。
対象は2016年(65〜70歳)と2019年(68〜73歳)の追跡調査票に記入した7,139人(平均年齢67.7歳)。
2016年の調査時に、運動の種類と1週間当たりの運動量を確認。
運動の種類
・軽い運動:早歩き
・中等度の運動:軽いテニスや水泳など
・高度の運動:呼吸が荒くなるようなエアロビクス、サイクリング、ランニングなど
1週間当たりの運動量
・0分
・1から150分未満
・150から300分未満
・300分以上
2019年の調査時に、過去12ヶ月の転倒と転倒に伴う怪我の有無を確認しました。
結果
転倒
7,139人中2,012人(28.2%)が過去12ヵ月間に転倒しました。
996人が怪我を伴わない転倒、1,016人が怪我を伴う転倒でした。
怪我を伴わない転倒
運動をしなかった(0分/週)方と比べて、1週間で1から150分の運動された方で差は明らかでありませんでした。
1週間で150から300分と300分以上運動をされた方は転倒が少なかったです。
怪我を伴う転倒
怪我を伴わない転倒と同じ結果でした
運動の種類との関連
怪我を伴う転倒との間に関連は認められませんでしたが、怪我を伴わない転倒がすべての運動量において低下を認めました。
まとめ
転倒や転倒に関連した怪我は高齢者によく見られます。
特に転倒による骨折は寝たきりの原因となります。
健康を守り、これまでの生活を維持するためにも、「運動の種類は早歩きなど軽くて良いので、1週間で150分の運動」を心がけるのが良いと考えます。
出典
Leisure-Time Physical Activity and Falls With and Without Injuries Among Older Adult Women