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運動や労働、家事は5年後のパーキンソン病の進行を遅らせる事が期待出来る

[2022.05.08]

パーキンソン病は、体が動かしにくくなることに加え、体が震えたり、硬くなったりする病気です。

内服薬での治療に加え、脳深部刺激療法やレボドパ・カルビドパ配合経腸用液療法などの外科的治療、リハビリテーションでの治療により、以前よりも症状の改善が期待できる病気であるものの、根本的な治療法は見つかっておらず、いかに症状の進行を抑えることが出来るかが重要となっています。

 

京都大学大学院臨床神経学の月田和人氏らは、早期のパーキンソン病患者さんの運動などがその後の症状進行の抑制を示した結果をNeurologyに報告しました。

 

対象は、11カ国33施設が参加する国際多施設共同観察研究PPMIに登録された早期のパーキンソン病患者さんで、最終的には237人の患者さんの解析が行えました。

平均年齢63歳、男性69.2%、平均罹病期間(病気に罹っている期間)3.0年で、追跡期間中央値は5.0年(四分位範囲4.0~6.0年)でした。

なお、解析の結果については年齢や性別、薬の投与量、病気に罹っている期間を調整しています。

 

研究開始時の運動量や身体活動量とパーキンソン病の進行に関連は認められませんでした。

 

しかし、研究観察期間中の運動量や身体活動量とパーキンソン病の進行について解析を行うと、継続することにより発症後の運動機能の悪化の抑制が示されました。

 

具体的には、

・1〜2時間程度の中等度以上の運動習慣を週に1〜2回継続することは、歩行・姿勢の安定性悪化の予防に繋がる

・1日に2〜3時間程度の労働に関連した活動を継続すると、処理速度低下の予防に繋がる

・家事に関連した活動を継続すると、日常生活動作の悪化の予防に繋がる

です。

 

また、大事な事はもともと運動するなどの習慣は大事ですが、パーキンソン病発症後の症状悪化を抑制については、発症後からの継続が症状悪化の予防に繋がることです。

 

A:中等度以上の運動量と歩行・姿勢の安定性低下の進行との関連

B:家事に関連した活動量と日常生活動作能力低下の進行との関連

C:日常的な活動量と歩行・姿勢の安定性低下の進行との関連

D:労働に関連した活動量と処理速度低下の進行との関連

 

余暇、家事、労働に関連した活動を含む日常的な身体活動量

 Physical Activity Scale for the Elderly(PASE)

運動機能

 Movement Disorder Society Unified Parkinson's Disease Rating Scale(MDS-UPDRS)

歩行・姿勢の安定性

 MDS-UPDRSのPostural Instability/Gait Disturbance (PIGD)

日常生活動作(ADL)

 Modified Schwab and England Activity of Daily Living scale(MSE-ADL)

処理速度

 Symbol Digit Modalities Test(SDMT)

 

出典:Neurology.2022 Feb 22;98(8):e859-e871.

   Long-term Effect of Regular Physical Activity and Exercise Habits in Patients With Early Parkinson Disease

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