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インフルエンザワクチンで新型コロナウイルス感染症も予防?

[2022.10.16]

カナダUniversity of TorontoのHosseini-Moghaddam SM氏らは、同国オンタリオ州の地域住民228万例を対象にしたコホート研究を実施し、インフルエンザワクチン接種により新型コロナウイルス感染症のリスクが低下したことを発表しました。

また、定期健康診断の有無が新型コロナウイルス感染症の転帰にも影響していると報告しました。

2022年は南半球のインフルエンザ流行に伴い、新型コロナウイルス感染症との同時流行の恐れがあります。

この数年インフルエンザの流行はありませんでしたが、今年もインフルエンザ予防接種などの感染対策をよろしくお願い致します。

 

研究について

 66歳以上の高齢者228万人を対象にしたコホート研究

 オンタリオ州在住の66歳以上(女性54.2%)の高齢者292万2,449人のうち227万9,805人(平均年齢75.08歳)を対象としています。

 2つのコホート(19~20年および20~21年)において、前者では53.9%に当たる122万9,487人がインフルエンザワクチンを接種し、後者では57.8%に当たる126万6,939人が接種していました。

 

主要評価項目は、新型コロナウイルス感染、入院、死亡、入院/死亡の複合転帰とし、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、インフルエンザワクチン接種と新型コロナウイルス感染症関連転帰との関連を評価しています。

注意点は、健康意識が高い人ほどワクチン接種を行う傾向や、ワクチン接種者とワクチン非接種者では医療機関受診行動にも違いがあることです。

今回の研究ではこの点についても、検討されています。

 

インフルエンザワクチン接種の有無

 非接種者に比べ接種者の新型コロナウイルス感染症、入院、死亡、入院/死亡の複合転帰の全てにおいてリスク低下が認められました。

 *2019〜2020年と2020年〜2021年の比較

 新型コロナウイルス感染リスク:22%から24%低下

 入院リスク:17%から32%に低下

 死亡リスク:26%から42%に低下

 入院/死亡の複合転帰:17%から34%に低下

 

定期健康診断の有無

 対象の15%に当たる34万2,800人が定期健康診断を受診していました。

 定期健康診断非受診者と比べ受診者では翌年の新型コロナウイルス感染症、入院、死亡、入院/死亡の複合転帰の全てにおいて有意なリスク低下が認められた。

 新型コロナウイルス感染リスク:15%低下

 入院リスク:21%低下

 死亡リスク:18%低下

 入院/死亡の複合転帰:20%低下

 

インフルエンザ予防接種者でさらに定期健康診断を受診すれば?

 インフルエンザワクチン接種者を対象に定期健康診断の有無別に検討したところ、定期検診診断非受診者と比べ受診者では、新型コロナウイルス感染症、入院、死亡、入院/死亡の複合転帰の全てにおいて有意なリスク低下が認められた。

 新型コロナウイルス感染症

  非受診者; 19%低下

  受診者;38%低下

 入院リスク

  非受診者;14%低下

  受診者;36%低下

 死亡リスクの低下

  非受診者;22%低下

  受診者;54%低下

 入院/死亡の複合転帰のリスク低下

  非受診者;15%低下

  受診者;34%低下

 

インフルエンザワクチン接種がどうして新型コロナウイルス感染症に影響する?

 いくつかの研究により、インフルエンザワクチン接種により、自然免疫が獲得されますが、インターフェロンやサイトカインの放出を介した非特異的免疫反応が活性化されることにより少なくとも数週間は他の呼吸器ウイルスに対する免疫が付与されるとの報告があります。

出典

 Association of Influenza Vaccination With SARS-CoV-2 Infection and Associated Hospitalization and Mortality Among Patients Aged 66 Years or Older

2022 Sep 1;5(9):e2233730. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2022.33730.

Seyed M Hosseini-Moghaddam 

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