将来インスリン治療は週1回になる?
ノボ ノルディスク ファーマは、週1回投与のinsulin icodec*が1日1回投与のインスリングラルギンU100と同程度の有効性と安全性を示したことを6月15日報道発表し、その内容を第80回米国糖尿病学会で発表しました。
*insulin icodec:開発中の半減期196時間の作用が長時間持続するbasalインスリンアナログ
糖尿病は血糖を下げるインスリンがうまく使えない、十分に分泌されないことにより発症し、目・腎臓・神経などの3大合併症に加え心筋梗塞や脳梗塞などの脳血管障害の危険因子となるため積極的な治療が必要な疾患です。
まずは食事療法や運動療法で治療を行いますが、改善が乏しい場合は内服薬治療となりますが、改善が乏しい場合はインスリン注射による治療が必要となります。
インスリン注射は大きく、食事の際に上昇する血糖を下げる追加分泌を補うインスリン注射、1日に必要な基礎分泌を補うインスリン注射、追加分泌と基礎分泌の両方を補うインスリン注射の3つに分けられますので、患者さんによっては1日に複数回注射が必要となる事があります。
今回の報道発表は開発段階ですので、実際に使用できるようになるにはまだ時間がかかりますが、注射の負担が少しでも減るのは良いと思います。
特に血糖を下げる薬を服用され、血糖コントロールがうまくいっていない自身でインスリン注射が難しい方に週に1回病院に受診して頂く事により、血糖コントロールが良くなり、内服薬をやめることも期待されます。
試験の詳細
DPP-4阻害薬の併用または非併用下でメトホルミンによって十分にコントロールされていないインスリン治療歴のない成人2型糖尿病患者247名を対象。
主要評価項目は投与26週間後までのHbA1cの変化。
insulin icodec投与群とインスリン グラルギンU100投与群の効果は-1.33%と-1.15%で同程度(p=0.08)。
安全性について、低血糖は両投与群同程度で安全性の問題は認められなかった。
Rosenstock J, Kjærsgaard MIS, Møller DV, et al. Once-Weekly Basal Insulin Icodec Offers Comparable Efficacy and Safety vs Once-Daily Insulin Glargine U100 in Insulin Naïve Patients with T2D Inadequately Controlled on OADs. Abstract 238-OR. Presented at the 80th Scientific Sessions of the Virtual American Diabetes Association Annual Meeting, Insulin Therapies, 18:15 CDT on 14 June 2020.