簡単チェックでフレイル予防!
フレイルとは、加齢に伴う種々の機能低下を基盤とし、様々な健康に対する脆弱性が増加している状態で、健康障害に陥りやすい状態です(1)。
Friedらは①体重減少、②主観的疲労感、③日常生活活動量の低下、④身体能力(歩行速度)の減弱、⑤筋力(握力)の低下、のうち3項目が当てはまればフレイルと定義し、1〜2項目が当てはまる場合はフレイル前段階と定義しました(2)。
フレイルの状態をそのままにしておくと、生活の質を落とし現在の生活を維持できなくなるだけではなく、糖尿病や心臓病などの持病の悪化にも繋がりかねません。
一方で食生活や運動をこころがけるなど介入を行うことにより、フレイルの状態からの改善も期待できます。
ですが、自身がフレイルであるのかを判断するには、握力・歩行速度の測定と判断をするのに時間を要するものが含まれており、気軽に判断することが難しいです。
九州大学のキャンパスライフ・健康支援センターの熊谷 秋三らは、簡単に評価できるチェックシートを開発し報告しました(3)。
適宜フレイルの状態であるのかセルフチェックを行い、当てはまる場合は、生活習慣病の予防を行いつつ、散歩などの運動を少しでも日常生活に取り入れる、タンパク質などの栄養摂取を増やすことが大事です。
運動や食生活をどうすれば良いかわからない場合は、かかりつけの先生に相談される、または介護保険によるデイサービスやデイケアなどを利用されることも良いと思います。
チェックシート
5項目、6つの質問に「はい」「いいえ」で答えるだけで身体的フレイルの判定が可能。 3点以上ある場合は、身体的フレイルの状態と判断して良いとされます。 なお、各項目の頭文字を並べると「Frail(フレイル)」となります。
Fatigue(疲労感)
気分が沈み込んで、何が起こっても気が晴れないように感じましたか 何をするのも骨折りだと感じましたか 1.はい・0.いいえ(どちらか1つにあてはまる場合も「はい」に〇)
Resistance(筋力)
階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか 0.はい・1.いいえ
Aerobic(有酸素能力)
1kmぐらいの距離を続けて歩くことができますか 0.はい・1.いいえ
Inactivity(活動量低下)
1日のうち、座っている又は横になっている時間は、起きている時間の80%以上ですか 1.はい・0.いいえ
Loss of weight(体重減少)
6カ月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか 1.はい・0.いいえ
参考文献、出典
(1)葛谷雅文:老年医学におけるSarcopenia & Frailty の重要性.日老医誌2009;46:279─85
(2)Fried LP: Cardiovascular Health Study Collaborative Research Group. Frailty in older adults : evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001; 56 : M146─56.
(3)Si Chen:Journal of the American Medical Directors Association. 2019 Sep 12;pii:S1525-8610(19)30567-5.