デジタル認知症? スマホ認知症?
先日KBC「アサデス。」さまより取材依頼がありましたので、調べてみました。
テーマはデジタル認知症、スマホ認知症です。
デジタル認知症とは、ドイツの精神科医マンフレッド・スピッツアーの著書タイトルに由来し、子どものときからデジタル漬けになると、脳の健全な生育を阻害するというもので、最近はスマートフォンの所持率が増えたこともありスマホ認知症とも呼ばれるようになりました。
2年ほど前にテレビで放送された後から、40代や50代の方から相談されることがありましたが、インプットとアウトプットの問題であり、調べる時はまずインターネットを使うのではなく本を読んで調べるようにし、パソコンやスマートフォンに記録するだけではなく手書きでも記録すること、寝る前のパソコンやスマートフォンの使用は睡眠不足の原因となり、それが脳機能低下に結びつくことから避けるように説明していました。
しかし、今回の依頼から調べてみると認知症発症のリスクとなり得ることが分かりました。
キーワードは「インターネット依存症」と「ドーパミン」、「デフォルトモード・ネットワーク」です。
インターネット依存症では、ドーパミントランスポーターの発現量が低下することにより、細胞内に取り込まれるはずのドーパミンが取り込まれずに増えてしまうとされています。 ドーパミンとは神経伝達物質の1つで、「快感や多幸感を得る」、「意欲を作ったり感じたりする」、「運動機能の調節に関連する」といった働きを担っています。
「快楽ホルモン」とも呼ばれ、分泌されるとさらに快楽を得ようと欲求が強くなり、アルコール依存や薬物依存と同じような状態に陥ってしまい止めることが困難となります。
また原因は解明されていませんが、インターネット依存症ではデフォルトモード・ネットワークに不調を来たすとされています。
デフォルトモード・ネットワークとは内側前頭前野、頭頂葉内側部(後部帯状回、楔前部)などからなる脳回路であり、意識的な活動をしていないときに働き、認知機能と関係しているとされ、不調を来すことにより記憶障害などの原因となり得ます。
認知症を来す疾患として有名なアルツハイマー型認知症の主な病巣である内側前頭前野と後部帯状回に一致することも、矛盾しないと考えます。
デジタル機器の無い生活は現実的ではありませんが、認知症の原因となり得るかもしれませんので、せめて寝る前1時間は使用を控えるなどのルール作りが必要と考えます。