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院長ブログ

新型コロナウイルス感染症後遺症(2022.01.16更新)

新型コロナウイルス感染症 罹患後症状のマネジメント - COVID-19 暫定版 Dec2021より

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2019年12月に中国・武漢で原因不明の肺炎として報告されて以来、全世界で感染が拡大している状態です。

徐々に感染対策や診断・治療・予防法が確立されている一方、COVID-19感染後、治療により感染性が改善したにもかかわらず、感染当初からある症状が持続したり、経過中あるいは改善後に再度様々な症状が出てくることがあります。

この症状のことを罹患後症状、post COVID-19 condition(s)、long COVID、post-acute COVID-19、long-haul COVIDなどと言われていますが、その原因は不明な点が多い状態です。

おばた内科クリニックでは、精神・神経症状や痛みに対し総合内科専門医・脳神経内科専門医として出来る限りの検査(血液検査、心電図検査、レントゲン検査、超音波検査、MRI検査)・治療(内服加療、リハビリテーション)を行わせていただきます。

 

代表的な罹患後症状

全身症状

 ・倦怠感

 ・関節痛

 ・筋肉痛

呼吸器症状

 ・咳

 ・喀痰

 ・息切れ

 ・胸痛

精神・神経症状

 ・記憶障害

 ・集中力低下

 ・不眠

 ・頭痛

 ・抑うつ

その他の症状

 ・嗅覚障害

 ・味覚障害

 ・動悸

 ・下痢

 ・腹痛

 

感染後症状の頻度・持続期間

頻度について海外での報告では、COVID-19の診断・発症・入院後2ヶ月あるいは退院・回復後1ヶ月経過した患者さんでは、72.5%が何らかの症状がありました。

最も多いのは倦怠感(40%)で、息切れ(36%)、嗅覚障害(24%)などでした。

日本での報告では、COVID-19と診断され入院治療された患者さんの調査では、疲労感・倦怠感、息苦しさ、睡眠障害、思考力・集中力の低下が多く、咳、味覚障害、嗅覚障害が次いで認められました。

 

原因と今後の課題

感染後症状の原因は不明な点が多いですが、ウイルスに感染した肺などの組織への直接的な障害、ウイルス感染後の免疫調節障害による炎症の進行、ウイルスによる血液凝固能亢進(血液が固まりやすくなる状態)と血栓症(固まった血液が詰まることによる障害)にによる血管損傷・虚血、ウイルス感染によるレニン・アンジオテンシン系の調節障害、重症者の集中治療後症候群などがあげられています。

後遺症により、日常生活や仕事や学業などに支障がでてお困りの患者さんがいらっしゃいます。

後遺症に対する診療の手順が不明なため、患者さん自身が医療機関を転々とされ、更に悩み、不安が高まることにより症状の改善が遅れたり、悪化することがあります。

今回の診療の手引きなど利用しつつ、可能な範囲、個々の症状に対して検査や治療を行うべきと考えます。

 

各症状に対するアプローチ

・呼吸器症状へのアプローチ

  息苦しさや咳、痰の症状が多いです。

  息苦しさが新たに出現した場合や、突然出現した場合、悪化傾向にある場合などには早めに治療が必要なことがあるために、受診が望ましいです。

  肺炎や心臓による症状、うつ・不安症などの鑑別が必要になりますので、問診と診察を行い、必要に応じて採血、心電図、レントゲン検査などを行います。

  これらの検査により異常がある場合は呼吸器専門医(呼吸器科)や心臓専門医(循環器科)での精密検査となります。

 

・循環器症状へのアプローチ

  何らかの心臓へのダメージがあると報告があります。

  心臓へのダメージにより心臓の機能が低下することにより心不全といった症状や不整脈など緊急的な対応が必要にあることがあります。

  問診と診察を行った後に、心電図や胸のレントゲン検査、心臓の超音波検査、血液検査など行います。

 これらの検査結果により治療を行っていきますが、症状の改善が乏しい場合や血液検査でBNP100pg/mlもしくはproBNP400pg/ml以上の場合は心臓専門医(循環器科)での精密検査や治療となります。

 *脳性ナトリウム利尿ペプチド(BrainNatriureticPeptide:BNP)

  心臓から分泌されるホルモンで、心臓に負担がかかることにより、心臓から分泌され、心不全の診断に使用される。

 

・嗅覚・味覚症状へのアプローチ

  嗅覚障害

   においが鼻の嗅神経まで達しないことにより生じる気導性嗅覚障害、嗅神経自体の障害による嗅神経性嗅覚障害、脳内の中枢の障害による中枢性嗅覚障害に分類される。

   COVID-19による嗅覚障害は1ヶ月以内の早期に回復する場合が多いが、1ヶ月以上の長期に及ぶ場合はCTやMRIによる画像診断や内視鏡検査においても鼻や副鼻腔に異常所見がないことが多く、嗅神経性嗅覚障害によるものが考えられている。

  味覚障害

   原因として、口の中の感想、感染におる以上、味細胞や味神経の異常、味覚中枢の異常、血液中の亜鉛の低下、心因性、嗅覚障害による風味障害など多く考えられている。

  嗅覚・味覚障害は早期に改善することが多いことから、2週間以上症状が改善しない場合は嗅覚障害・味覚障害の診断が行える耳鼻咽喉科での検査や治療が必要

 

・精神・神経症状へのアプローチ

  脳などの中枢神経、末梢神経、筋肉・骨格系、内臓系、精神・心理活動のいずれかの臓器の異常が考えられている。

  大半の症状が時間の経過とともに回復されることが見込まれているが、治療法やアプローチについての情報は不十分な状態。

  中枢神経系における機序

   長期間におよぶ免疫反応によるグリア細胞への障害 

    *グリア細胞;神経細胞の1つで、脳内環境の維持などに関わる

   血液脳関門の機能低下と血管透過性の亢進

   脳の霧(brain fog)と呼ばれる、「頭がぼーっとする」ような症状や、何かをする能力や集中力の低下などが中枢性神経系の障害の特徴と言われる

   炎症反応により血液が固まりやすい状態となり、脳梗塞や脳出血などの血管障害のリスクが増大する可能性も示唆されており、注意が必要

  *精神症状に関しましては、状況により心療内科や精神科での加療をおすすめすることがあります。

 

・痛みへのアプローチ

  頭痛、頚部痛、胸部痛、腰痛、下肢痛などの筋骨格筋系の痛みや腹部痛などが報告されている。

  原因として、直接あるいは間接的なウイルスによるダメージや集中治療後症候群などが考えられており、時間の経過とともに回復することがみられるが、痛みが続くことによる運動不足となり、慢性化する可能性があるため適切な治療が必要なこともある。

 

・罹患後(感染後)症状に対するリハビリテーション

  息切れや筋力低下に対しては、有酸素運動、呼吸練習、下肢筋力増強、バランス練習、日常生活指導などのリハビリテーションの実施が推奨されている。

  酸素投与の既往がある場合は、開始時のモニタリング(血圧やSpO2評価)、低い運動強度からの運動(3METs以下)開始が推奨されている

  *METs

   安静時と比較しての運動強度を表す単位

   1METs:座って安静にしている状態

   3METs:ゆっくり歩く程度

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