認知症と睡眠の関係
アミロイドβはアルツハイマー型認知症の原因の1つとされています。
2013年アメリカのワシントン大学の研究班が「JAMA Neurology」誌に発表した論文によると、入眠困難や中途覚醒、早朝覚醒などがある睡眠が不安定な人は、睡眠が安定している人に比べてアミロイドβの蓄積が5.6倍ということがわかりました。
よって、いかに睡眠の質を上げるのかが大事ですが、最近の研究では昼寝の習慣がある人はアルツハイマー型認知症になりにくいとされています。
注意点は、1時間以上の昼寝の習慣は、逆にアルツハイマー型認知症になりやすいという事です。
認知症患者さんは体内時計の調節障害がより強く現れ、深部体温やメラトニン分泌リズムが平坦化・不規則化して昼夜の差が不明瞭になるため、昼夜逆転による日中の過剰な眠気、夜間の不眠や中途覚醒などの睡眠障害が高い頻度で認められます。
その傾向は午後1~3時にかけて最も強く現れると報告されていますので、眠気の出たお昼間に20〜30分程度昼寝をすることをおすすめします。
20〜30分で起きる自信がない方は、カフェインは飲んでから15分ほどして効果が出てきますので、昼寝の直前に紅茶やコーヒーなどを飲むと良いかもしれません。
短時間の昼寝は脳疲労の軽減と機能回復をもたらし、就寝までの覚醒状態を適正に維持する効果が期待できます。
また、昼間に適度な運動を行うことはメラトニン分泌を介した睡眠周期の調節を正常にして、睡眠・覚醒パターンを規則化するのに有効であることが示唆されていますので、睡眠のリズムがうまくいっていない方は、昼寝を20〜30分程度行い、その後適度な運動を行うことがベストのようです。
高齢者での激しい運動は逆効果となる報告があり、適正な運動強度は散歩や屋内での掃除、階段昇降程度とされています。