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認知機能維持に必要なのは身体活動量?睡眠?

[2023.11.18]

身体活動量や睡眠不足・過眠はともに認知機能障害に影響することが様々な研究で明らかになっていますが、運動と睡眠がお互いにどのように影響するかなどは十分な検討がされていませんでした。

 

イギリスのUniversity College LondonのMikaela Bloombergらは身体活動量と睡眠時間についての関係について検討し、「高頻度・高強度の運動を行っていても、睡眠時間が短い場合では認知機能の低下が速かった」ことを明らかにしました。

 

Mikaela Bloombergらの研究グループは、2008年1月1日~2019年7月31日に2年ごとに追跡調査が実施された英国の老化に関する縦断的研究のデータ(English Longitudinal Study of Ageing)を分析しました。

対象は、ベースライン時に認知機能が正常な50歳以上の人で、追跡調査期間中に認知症の診断を報告した場合は除外されました。

 

身体活動量と夜間の睡眠時間は自己申告で、エピソード記憶評価や言語流暢性検査によって複合認知機能スコアを算出しました。

 

線形混合モデルを用いて、身体活動量(身体活動の頻度と強度から算出)、および睡眠時間(6時間未満、6~8時間、8時間超)と、認知機能低下の関連を検討しました。

 

主な結果は以下のとおり。

・解析には、ベースライン時の年齢が50~95歳であった8,958人が組み込まれました(追跡期間中央値10年)。

・ベースライン時の認知機能スコアの平均値は、身体活動量が多いグループのほうが身体活動量が少ないグループよりも良好で、睡眠時間が6~8時間のグループでは6時間未満および8時間超のグループよりも良好でした。

身体活動量が多く睡眠時間が6~8時間のグループは、どの組み合わせのグループよりも良好な認知機能スコアを示しました。

・追跡調査の認知機能スコアでは、身体活動量が多く睡眠時間が6時間未満のグループは、身体活動量が多く睡眠時間が6~8時間のグループよりも認知機能低下の速度が速かったです。

・ベースライン時の年齢が50代および60代の身体活動量が多く睡眠時間が6時間未満のグループは、身体活動量が少なく睡眠時間が6時間未満のグループと同程度の低い認知機能スコアを示しました。70歳以上の場合は有意な差はありませんでした。

 

これらの結果から、身体活動量が多いことは重要ですが、睡眠時間が短いあるいは長い場合は、認知機能低下が進む可能性がある。

よって、身体活動を多く行い、睡眠時間は6〜8時間が望ましいと考えられます。

 

 

参考出展

Joint associations of physical activity and sleep duration with cognitive ageing: longitudinal analysis of an English cohort study 

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