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【高血圧が治らない原因は睡眠かも?】

[2026.05.31]

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と血圧の深い関係

こんにちは。おばた内科クリニックの勝原です。

「降圧薬を飲んでいるのに血圧が下がらない」

そんな患者さんの中に、実は睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れていることがあります。

睡眠時無呼吸症候群は単なる“いびきの病気”ではありません。

近年では、

  • 高血圧
  • 心房細動
  • 心不全
  • 脳卒中
  • 糖尿病

との関連が明らかになっています。

特に循環器領域では、

「治療してもなかなか改善しない高血圧では睡眠時無呼吸を疑う」

ことが重要とされています。

 

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。

呼吸停止により血液中の酸素が低下すると、

  • 交感神経の活性化
  • 血管収縮
  • 血圧上昇

が繰り返されます。

その結果、夜間だけでなく日中も高血圧が持続しやすくなります。

 

なぜ血圧が上がるのか?

睡眠中に無呼吸が起こると、

身体は酸欠状態になります。

すると、

「呼吸しろ!」
「血圧を上げろ!」

という指令が脳から出され、

アドレナリンやノルアドレナリンが過剰に分泌されます。

これが毎晩何十回、何百回と繰り返されるため、

慢性的な高血圧につながります。

 

【睡眠時無呼吸症候群の診断】

<画像:TEIJIN Medical WEBより転載>

まずは自宅で行える簡易検査を当院で手配させていただきます。

指先や鼻につけるセンサーで、

  • 呼吸状態
  • 酸素濃度
  • いびき

などを測定します。

重症度の判定

AHI(無呼吸低呼吸指数)という指標を用います。

1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数です。

  • 5未満:正常
  • 5~15:軽症
  • 15~30:中等症
  • 30以上:重症

 

【CPAP治療の適応は?】

CPAP(シーパップ)は睡眠中に空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ治療です。

保険診療では一般的に

  • 簡易検査(自宅で検査可能):AHI 40以上
  • または精密検査(入院が必要):AHI 20以上

の場合に適応となります。

※実際の適応判断は検査結果や症状を総合して行います。

 

CPAPで血圧は本当に下がる?

結論から言うと、

「平均すると数mmHg程度」

ですが、

治療抵抗性高血圧ではより大きな効果が期待できます。

 

降圧薬1剤追加に近い効果?

2014年のJournal of Hypertensionに掲載されたメタ解析では、

睡眠時無呼吸を合併した治療抵抗性高血圧患者さんにおいて、

CPAP治療により

  • 収縮期血圧:約6.7mmHg低下
  • 拡張期血圧:約5.9mmHg低下

が報告されました。

これは降圧薬1剤追加に匹敵する可能性がある数値です。

 

心筋梗塞や脳卒中も減る?

ここは少し複雑です。

2016年に医学界で大きな注目を集めたSAVE試験(New England Journal of Medicine掲載)では、

約2700人の睡眠時無呼吸患者さんを対象にCPAP治療の効果を検証しました。

結果として、

心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントは有意に減少しませんでした。

 

ではCPAPは意味がないの?

そういうわけではありません。

SAVE試験では平均使用時間が約3.3時間と短く、

十分に使用できていなかった患者が多かったことが指摘されています。

一方で、

しっかりCPAPを使用できた患者さんでは、

心血管イベント抑制の可能性を示唆する解析も報告されています。

 

現在のエビデンス

現在の医学的な結論としては、

CPAPの効果として最も確立しているのは

  • 日中の眠気改善
  • QOL改善
  • 夜間血圧低下
  • 治療抵抗性高血圧の改善

です。

心筋梗塞や脳卒中予防については、

「期待されるが、まだ完全には証明されていない」

というのが現在の位置づけです。

 

糖尿病や高血圧の方は要注意

特に

  • 肥満
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 心房細動

がある方では、

睡眠時無呼吸症候群を合併していることが少なくありません。

「薬を増やしても血圧が下がらない」

という場合は、

睡眠時無呼吸の検査を検討する価値があります。

 

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、

いびきだけの病気ではありません。

特に治療抵抗性高血圧では、

睡眠時無呼吸の治療によって血圧改善が期待できる可能性があります。

高血圧や糖尿病の治療を行っている方で、

  • いびきが強い
  • 昼間眠い
  • 朝だるい
  • 血圧が下がりにくい

という症状がある場合は、一度ご相談ください。

 

【参考文献】

McEvoy RD, et al.
CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea.
N Engl J Med. 2016;375:919-931.

 

Iftikhar IH, et al.
Effects of continuous positive airway pressure on blood pressure in patients with resistant hypertension and obstructive sleep apnea.
J Hypertens. 2014;32:2341-2350.

 

Mokhlesi B, Ayas NT.
Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea — Can CPAP Therapy SAVE Lives?
N Engl J Med. 2016;375:994-996.

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