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コロナワクチンでコロナ後遺症が改善?

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症は新型コロナウイルス感染症の感染性が消失したにも関わらず、症状が持続することを言います。

具体的な症状として疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、痰、集中力の低下、記憶障害などさまざまで、時間の経過とともに症状が改善することが多いとされますが、改善せずにお困りの方も多く、世界的に研究が進んでいますが、治療は手探りの状態です。

 

これまで新型コロナウイルス感染症の感染前のワクチン接種が、後遺症の発症を減少させる可能性を示唆する研究報告がありました。

また、後遺症がある方へのワクチン接種の影響についてもいくつか報告がありましたが、一定した見解が得られていない状態でしたが、カナダの研究チームよりワクチン接種により、後遺症を軽減する可能性について新たに報告がありました。

これからもさらなる検討が必要ですが、現在新型コロナウイルス感染症は落ち着いていますが、今季の冬には現在のインフルエンザとともにダブルの流行が懸念されています。

ワクチン接種による副反応の心配もあると思いますが、後遺症対策含めぜひご検討されて下さい。

接種について悩まれている患者さまは、まずかかりつけ医にご相談されて下さい。

おばた内科クリニックでは地域の皆様の健康を守るため、今後も定期的な情報提供含め診療にあたらせて頂きます。

 

今回のカナダの研究チームからの報告

Maryam Nayyerabadi氏らは、後遺症を有する83例を対象に、ワクチン接種前後の後遺症症状数、後遺症の臓器数、心理的幸福度(WHO-5精神健康状態表[WHO-5]に基づく評価)を用いて評価しました。

また、全身性炎症のバイオマーカーや血漿中のサイトカイン/ケモカイン量、血漿中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原量、SARS-CoV-2由来のタンパク質に対する抗体量なども評価しました。

 

・後遺症症状数

 ワクチン接種前6.56±3.1

 ワクチン接種後3.92±4.02

 であり、有意に減少した(p<0.001)

・後遺症の臓器数

 ワクチン接種前3.19±1.04

 ワクチン接種後1.89±1.12

 であり、有意に減少した(p<0.001)

・心理的幸福度

 ワクチン接種前42.67±22.76

 ワクチン接種後56.15±22.83

 であり、有意に改善した(p<0.001)

・サイトカイン/ケモカイン量

 ワクチン接種前と比較して有意に減少した。

・血漿中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原量

 ワクチン接種前後で有意な変化なし

・SARS-CoV-2由来のタンパク質に対する抗体量

 ワクチン接種後にSタンパク質、Sタンパク質の受容体結合ドメインに対する血中のIgG抗体が増加した

 →ワクチン接種とは無関係にウイルス産物が検出され、炎症の持続に関与している可能性

 

報告では後遺症がある患者さまには、炎症反応が亢進しており、ワクチン接種により炎症が低下し、それにより症状の軽減に寄与する可能性があるとしています。

この研究結果は、後遺症で悩まれている患者さまにとって、ワクチン接種が症状の軽減に寄与する可能性があることを示唆しています。

 

出典

Vaccination after developing long COVID: Impact on clinical presentation, viral persistence, and immune responses

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