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若い時の生活習慣病がアルツハイマー型認知症の原因に?

[2022.07.16]

糖尿病や高脂血症、高血圧症などの生活習慣病がアルツハイマー型認知症発症との関連はこれまでも多く報告されていましたが、これまでの報告は高齢者を対象とした報告が多く、若い世代の方を対象とされた報告は少なかったです。

 

アメリカのボストン大学のLindsay Farrer氏らは、アメリカの疫学研究である「フラミンガム研究」のデータを解析し、アルツハイマー型認知症の発症には、35歳以降の血糖値などの異常が関係していると報告しました。

 

今回の報告では、研究参加者4,932人を対象として、9回の4年ごとの検査で脂質、血糖、血圧、肥満度(BMI:Body Mass Index体重と身長から算出される肥満度)、喫煙とアルツハイマー型認知症との関連を、年齢、性別、教育歴の影響を調整し3群(早期成人期35-50歳、中期成人期51-60歳、後期成人期61-70歳)に分類し検証を行いました。

 

研究開始時に早期成人期35-50歳だった群は、平均35.2±8.9年の経過で5.5%がアルツハイマー型認知症を発症しました。中期成人期51-60歳だった群は25.8±8.2年で8.8%、後期成人期61-70歳だった群は18.5±6.8年で12.2%がアルツハイマー型認知症を発症しました。

 

アルツハイマー型認知症の発症リスクに影響を及ぼしうる、年齢、性別、教育歴の影響などを統計的に調整後、以下に示すように、中期成人期51-60歳、あるいはそれよりも若い早期成人期35-50歳での検査値異常とアルツハイマー型認知症の発症リスクとの間に、有意な関連が見いだされました。

 

高コレステロール血症

いわゆる善玉コレステロールと呼ばれる、高比重リポ蛋白(HDL-C)の値が高いことはアルツハイマー型認知症発症のリスクが低かった(P=0.041)です。

具体的にはHDL-Cが15mg/dl増加すれば、早期成人期35-50歳では15.4%(P=0.041)、中期成人期51-60歳では17.9%(P = 0.014)アルツハイマー型認知症の発症リスクが低下していました。

 

高脂血症

中性脂肪に関しては、中期成人期51-60歳でアルツハイマー型認知症の発症リスクが33%増加(P=0.0013)しました。

 

糖尿病

血糖値については、中期成人期51-60歳では血糖値が15mg/dl増加すると、アルツハイマー型認知症の発症リスクが14.5%増加(P = 0.00029)しました。

 

まとめ

アルツハイマー型認知症は60代以上で年齢が高くなるほど多くなりますが、40代などの若い年齢(若年性アルツハイマー型認知症)でも発症します。

福岡市では、よかどっく(40-74歳対象)・よかどっく30(30-39歳対象)と500円で健康診断が可能です。

30代の若い時から、健康診断を受診するなど、早い段階から対策を心がけることにより生活習慣病を予防し、その事が心筋梗塞や脳梗塞・脳出血などの血管障害を予防するだけでなく、アルツハイマー型認知症の発症を予防することにも繋がると考えます。

 

参考

Midlife lipid and glucose levels are associated with Alzheimer's disease

Alzheimer's & dementia : the journal of the Alzheimer's Association. 2022 Mar 23; doi: 10.1002/alz.12641.

https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/alz.12641 

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