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脳の健康管理(BHQ)を心がけてみては?

[2022.06.05]

BHQ(Brain Healthcare Quotient)とは、内閣府のImPACTプログラムにおいて、新たな「脳の健康管理指数」として開発されました。

知能指数IQのように、あなたの脳の健康状態を数値化、いわゆる“見える化”することができます。

 

BHQ検査では、MRI検査から得られた脳の情報をより詳しく解析し、「脳の健康状態/同世代との比較/心の状態」 までも数値化することができます。

 

検査時間は10分ほどで、あなたの脳の健康状態を知ることができて、同年代との比較もできます。

 

BHQは年齢とともに低下することがわかっています。

近年の研究では、食事、疲労・ストレス、ライフスタイルや心の状態、ワークエンゲージメントとの関連も明らかになっています。

また、BHQ値の結果が低くても、生活習慣の改善やストレスの軽減で回復する可能性が大いにあります!

 

研究により、どのような健康状態、生活環境、心理特性の人が脳の萎縮を抑えられるかも分かってきましたので、参考にされて下さい。

 

健康

・生活習慣病

 糖尿病、高血圧症、脂質異常症、肥満などの生活習慣病では脳血管障害を起こしやすく、認知症発症と関与することが報告されています。

 生活習慣病は脳の萎縮をもたらすことも分かってきています。

 食事や運動に気をつけ、生活習慣病を予防することが、認知症や脳萎縮のリスクの軽減に繋がります。

・ストレス・不安障害・うつ病

 ストレスにより、コルチゾールなどストレスホルモンが放出され、このコルチゾールがストレスによる脳障害の一因と考えられています。

 不安障害やうつ錠などの精神疾患において、脳容積の減少や脳内ネットワークの障害が生じていることが明らかになってきています。

 過度のストレス状態の継続や大うつ病の再発を繰り返すことにより、次第に脳障害が進行するため、ストレスマネージメントおよび再発予防に取り込むことが脳の健康増進に重要です。

・マインドフルネス瞑想

 継続的に実践することで、心身の健康だけでなく脳の健康も高まっていくことがわかってきています。

・睡眠

 幼年期、思春期における良質な睡眠が脳の形成に重要なことが、脳MRIを用いた研究でわかってきています。

 高齢者の睡眠の質の低下や不眠症において、特定の脳領域で脳容積が減少していることが報告されています。

 睡眠時間は個人差が大きく、個人個人に最適な睡眠時間は一概に言えませんが、6時間以上の睡眠が望ましいとされています。

 また、目覚めに疲れが取れた状態も一つの指標になります。

 生涯にわたって、良質な睡眠が脳の健康増進に重要なことが示されています。

 また、近年は睡眠が認知症の予防に役立つ可能性が示唆されています。

 

食事

認知症といった疾患リスクを低減させるだけでなく、食事や栄養素による脳の加齢性変化および脳萎縮の進行を予防・軽減できる可能性が示唆されています。

・地中海食

 果物、野菜、豆類が主体で、適量の肉と魚、オリーブオイル、少量の乳製品を摂取する食事で、地中海食には脳の萎縮を予防する効果が期待されています。

 日本食も脳の健康に良いと思われますが、脳画像研究は欧米からの報告が多く、十分な治験が得られていません。

・不飽和脂肪酸

 魚や植物由来の脂肪に多く含まれ、DHAやEPAなどのn-3系不飽和脂肪酸とリノール酸、アラキドン酸などのn-6系不飽和脂肪酸に分類されます。

 脳は多くの脂肪酸を含有し、不飽和脂肪酸の摂取は脳の発達と老化防止に役立ちます。

 研究では1日2.2g以上のn-3系不飽和脂肪酸の摂取や週1〜4回以上の魚の摂取は脳の加齢性変化の軽減に有効であったと報告されています。

 熱や光、空気で酸化しやすく、過酸化脂質になるため、食べ物として摂る場合は揚げ物や炒めものよりドレッシングなどに向いています。

 *飽和脂肪酸はおもに動物性の脂肪に含まれます。

・ビタミン

 ビタミンA、B、D、フラボノイド、およびビタミンC、Eなどの抗酸化物質は、認知症を発症するリスクを軽減し脳の健康に重要であることが示唆されます。

 中程度から高用量のビタミンB群(葉酸0.8g/日、ビタミンB6:20mg/日、ビタミンB12:0.5mg/日)は、脳の加齢性変化を遅らせることが示唆されています。

・ダイエット

 カロリー制限は脳の健康に良い影響を与えますが、過度のダイエットは脳萎縮の原因となります。

 適切なダイエットは、減量だけでなく、気分や生活の質の改善、さらには認知機能の向上に影響することが示され始めています。

・アルコール

 多量摂取は小脳以外にも海馬や扁桃体、前頭葉などの脳萎縮をきたします。

 適量および少量の飲酒に関して、脳MRI研究では脳萎縮のリスク要因となることが報告されていますが、認知機能の研究では良い影響を与えることが報告されています。

 少なくとも、生活習慣病、肝障害などの基礎疾患のある方は、減酒や禁酒が脳の健康に大事です。

 

運動

・有酸素運動

 健常高齢者や軽度認知障害の患者さんにおいて、3〜6ヶ月の有酸素運動の介入により、脳萎縮が改善することが報告されています。

 具体的にはウォーキング、トレッドミルトレーニング、サイクリング、ランニングを中心に有酸素運動の研究が行われています。

 週3日以上、1回30分程度が一つの目安となります。

・筋力トレーニング

 高齢者の脳萎縮が改善する可能性が示唆されています。

 脳MRIの研究では個人の1回の最大負荷の70%で8〜10回のウェイトトレーニングを週1〜2回行うことが脳萎縮の改善に有効であったと報告されています。

 ほか、スクワットや腕立て伏せなどの自重トレーニングの有効性も報告されています。

 脳MRI研究では、脳機能の改善や脳の加齢性変化の予防などが期待できる結果が示されています。

・レジャースポーツ

 個人、小グループ、チーム、またはコミュニティ全体が関与します。

 これらの活動は、様々な年齢、能力、スキルレベルの人々が行うことができます。

 具体的な活動の例として、ゴルフ、バドミントン、バスケットボール、水泳、卓球、レクリエーションサッカートレーニングなどがあります。

 全体的な健康と幸福にプラスの効果があることが示されています。

・ダンストレーニング

 感情や思いを表現したり、エネルギーを開放したり、単に動き自体を楽しんだりすることを目的として、空間内で音楽などにあわせて演じられる一連の動作のことで、音の知覚や手足のリズム運動の統合が求められます。

 1回あたり60分から90分の練習を2回程度実施したりします。

 心身の健康だけでなく、認知機能の貢献に降下があることが、多くの研究で示されています。

 また、ダンスが脳の機能や構造に影響を与えることも徐々に示されています。

・ヨガ、太極拳

 身心を調整して健康を高めるための身心技法です。

 特定のポーズでバランスをとったり、ゆっくりと体を動かしたりしながら、身心の動きに気づくことで、身心が整い、健康が維持されたり増進したりすると考えられています。

 

学習

脳に良さそうなワーキングメモリトレーニングや記憶訓練により、高齢者で認知機能だけでなく、脳容積まで増加することが報告されています。

楽器演奏や芸術創作が脳に与える影響も脳MRIを研究で調査されています。

・認知機能向上訓練

 注意、ワーキングメモリ、記憶・問題解決などの1つあるいは複数を組み合わせた訓練などがあり、最近ではビデオゲームを用いた訓練もあります。

 訓練の難易度が高すぎたり、負担が大きすぎると、動機や集中力が低下し、効果が見られない場合もあるため、適切な量を見極めることが大切です。

 継続的に実践することで、加齢による認知機能の低下を防ぐことが示されています。

 さらに、脳機能の低下や構造の縮小を防ぐことも示され始めています。

・楽器演奏

 楽器を演奏するための運動関連領域だけでなく、音符や楽器を見るための視覚関連領域、奏でている音を聞くための聴覚関連領域、楽譜を覚えるための記憶関連領域、さらにはそれらを取りまとめる高次認知機能関連領域など、様々な脳領域にまたがる機能を同業的に活用することが求められます。

 複数の脳機能を統合的に活用することが求められるため、継続的な訓練によって、認知機能や脳機能・構造に良い影響を与える可能性があることが示されつつあります。

・芸術創作学習

 認知心理学や認知神経科学領域では、週に1回1から2時間のクラスを2から3ヶ月実施する介入がよく用いられています。

 臨床心理学領域の芸術療法などでは、週1から2回1から2時間のクラスを1ヶ月実施する介入などが用いられています。

・学校教育

 学校教育は認知症のリスクと関連する要因として最も幅広く受け入れられています。

 教育レベルが高いほど脳容積が大きいことや、白質の慢性虚血性変化があっても認知機能が保たれやすいことがわかっています。

 若い頃からの学校教育だけでなく、その後の生涯学習の影響も脳の健康に重要と思われます。

 

社会生活

社会との繋がりが認知症を予防するだけでなく、認知機能の向上や脳容積の変化にまで繋がることが示唆されています。

コミュニケーションスキルにより、脳の容積が異なることもわかってきています。

・ソーシャルネットワーク

 グループ活動、スポーツなどのイベントへの参加、家族や友人との会話など社会的な他者との繋がりを意味します。

 社会人になった後もスポーツサークル、ボランティア活動などに積極的に参加することは脳に良い影響を与えると考えられています。

 また、高齢者の社会的孤立は身体など悪影響を与えることが知られています。

・ソーシャルサポート

 家族、友人、愛する人などの近くのヘルプリソースからの認識されたサポート、および公式および非公式のソーシャルサービスの存在として定義されます。

 進化心理学では、個人の脳の大きさは社会的関係の質と量に影響されると言われています。

 社会的支援が個人の神経構造と機能を形成し、それが個人の対処メカニズム、自尊心、楽観的行動、および認知機能に影響を与える可能性があることを示唆しています。

 

環境と習慣

都市生活は脳やストレス応答に影響を与え、うつ病や不安障害、統合失調症のリスクに繋がることが知られていますが、住居や大気環境自体が脳に影響を与えることが分かってきました。

・大気環境

 大気汚染は、様々な疾患の原因になることや認知機能に大きな影響を与えることが示されています。

 さらに脳の機能や構造を悪化させる可能性があることも分かってきています。

・生活環境(都市生活)

 ペースの速い複雑なライフスタイルの都市に住むことは、健康や認知機能を高める一方で、病気のリスクも高めます。

・自然

 自然に触れる体験は、心身の健康や幸福感、生活の質を高めることが分かっています。

 近年では、自然体験が、脳活動や脳構造に影響を与えることも示され始めています。

・タバコ、コーヒー

 ニコチンによる神経保護作用が報告されていますが、喫煙は脳萎縮の危険因子になります。

 コーヒーは脳梗塞のリスク低下やアルツハイマー病のリスクとなるアミロイド沈着を防ぐといった報告がある一方で、海馬や松果体の萎縮といった否定的な見解の報告もあります。

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