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院長ブログ

体の動かしにくさ、諦めていませんか?(2022.09.18更新)

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害により手足の動かしにくさが後遺症として残ってしまい、生活に支障が出てしまうことがあります。

日本の医療保険制度では、原則脳血管障害による後遺症が残ってしまっても、医療保険を利用したリハビリテーション治療は発症から6ヶ月間までと期間が決まっています。

脳血管障害による後遺症として、歩きにくさや食事がうまくできない、服の着替えが一人ではできないなど様々です。

また、動かしにくいことから、後遺症が残ってしまった手足を動かさない事により、更に動かしにくくなり、筋肉の緊張が続くことにより、更に悪化してしまう事があります。具体的には足が突っ張ったように伸びてしまい歩きにくくなる、腕が曲がった状態から伸ばせない、手の指が曲がったままで伸ばすことができずなってしまうなどの痙縮と呼ばれる状態になってしまいます。

この痙縮の状態が続くと、関節が固くなり、関節の動きが制限された拘縮の状態になってしまうことがあります。

このような状態にならないためにも、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を発症してしまった場合は、点滴や内服薬などの薬物治療に加え、いかにリハビリテーション治療を効率的に行っていくかが大事です。

また、痙縮の状態がみられた場合は、リハビリテーション治療に加え、痙縮に特化した治療を加えていくことが重要です。

痙縮に対する治療は、これまでは内服薬やフェノールブロックなどの薬物療法、筋膜解離や筋腱切開などの拘縮に対する手術療法、装具などが用いられてきましたが、それぞれ単独では効果が得られにくく、副作用や手技の問題、治療効果評価の曖昧さなどから、標準的な治療方法は確立されていませんでした。

2010年10月に、ボツリヌス毒素による治療が可能となり、脳血管障害による痙縮に対する効果は明らかで、治療方法が大きく変わってきました。

ボツリヌス治療は、緊張した筋肉に注射することにより、筋肉の緊張が改善し、リハビリがスムーズに行えるようになり、これに電気治療や装具治療を併用することで、これまで改善できなかった症状の改善も期待できます。

実際、ボツリヌス治療だけではなく、ボツリヌス治療にその他の治療法と組み合わせることにより、症状が固定して改善が期待できない発症から6ヶ月以上経過した状態からの改善の報告も多く出されています。

昨年、脳卒中治療ガイドライン2021が発表されました。

上肢の障害について、ボツリヌス治療は脳卒中治療ガイドライン2015では、麻痺の程度が軽いものに対して勧められていましたが、脳卒中治療ガイドライン2021では軽いものだけではなく、中等度の症状にも積極的に勧められるように変わりました(グレードA)。

また、電気刺激治療も、ボツリヌス治療と同様に、脳卒中ガイドライン2015ではグレードBでしたが、治療効果が明らかとなり脳卒中治療ガイドライン2021ではグレードAに推奨度が高くなっています。

電気刺激治療はその目的により

・TENS:transcutaneous electrical nerve stimulation

 鎮痛を目的とした経皮的電気刺激

・TES:therapeutic electrical stimulation

 筋力増強や浮腫改善,痙性の抑制,創傷 治癒や血流の促進などの治療を目的とした治療的電気刺激

・FES:functional electrical stimulation

 中枢神経・麻痺筋の制御による機能回復を目的とした機能的電気刺激

の3つに大きく大別されます。

おばた内科クリニックでは、IVES(Integrated Volitional control Electrical Stimulation)という、動かしにくい筋肉の電気刺激を検出し、動きに合わせて電気刺激を行い、動かしにくさの改善を期待する電気刺激治療(FES)を行っています。

脳卒中治療ガイドライン2021より参考資料

痙縮に対する治療

 

歩行障害に対する治療

 

上肢機能障害に対する治療

 

 脳卒中治療ガイドライン2021における推奨度の分類

  グレードA:強い推奨、行うように勧められる、行うべきである

  グレードB:中等度の推奨、行うことは妥当である

  グレードC:弱い推奨、考慮しても良い、有効性が確立していない

  グレードD:利益がない、勧められない、有効ではない

  グレードE:有害、行わないよう勧められる、行うべきではない

 

おばた内科クリニックでは痙縮に対する治療として、ボツリヌス治療に加え、電気刺激治療や必要に応じて装具を利用したリハビリテーション治療を行っています。

体の動かしにくさは治療方法によって、改善が期待できます。

お困りの方は、いつでもご相談下さい。

 

参考資料

・脳卒中治療ガイドライン2021

・The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine、57巻9号、p810-820

 脳卒中上肢痙縮に対する装具療法ーボツリヌス療法に関連して、大串 幹

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