GLP-1受容体作動薬と急性膵炎について
こんにちは、内科・糖尿病・甲状腺・内分泌の勝原俊亮です。
最近、テレビやネットで「やせる薬」として話題になることが多い GLP-1受容体作動薬。糖尿病の治療薬として開発され、肥満症の治療にも使われるようになってきています。
一方で、「膵炎(すいえん)や胆石になりやすいのでは?」と心配される声もあります。そこで今回は、最新の研究結果をわかりやすくご紹介します。
最新研究の結果
2025年に発表されたスペイン・バレンシア州のデータベースを用いた研究では、約1.4万人以上の糖尿病患者さんが対象となりました
GLP-1受容体作動薬と急性膵炎
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比較:GLP-1受容体作動薬を使った群 vs SGLT-2阻害薬(別の種類の糖尿病内服薬)を使った群
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研究対象:BMI30以上の糖尿病患者さん
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期間:2015〜2021年
その結果、
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急性膵炎のリスクは増加しない(ハザード比:0.56)
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胆道疾患(胆石など)のリスクも増加しない(ハザード比:1.12)
ということが確認されました。
つまり、少なくとも今回の研究対象では、GLP-1受容体作動薬によって膵炎や胆石が増えることはなかった、という結論です。
注意点と大切なこと
もちろん「安全だから誰でも自由に使える」というわけではありません。
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用法・用量を守ること
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減量目的でむやみに使わないこと
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必ず医師の診察のもとで使用すること
がとても大切です。
また、この研究には オゼンピック(Ozempic)やウゴービ(Wegovy) は含まれていますが、マンジャロ(Mounjaro)やゼップバウンド(Zepbound) は含まれていない点にも注意が必要です。
動画でわかりやすく解説しています
今回の内容をさらにわかりやすくまとめた動画を作成しました。
ぜひこちらからご覧ください👇
📺 GLP-1受容体作動薬と急性膵炎について(動画はこちら)
まとめ
GLP-1受容体作動薬は、糖尿病や肥満症の治療に役立つ一方で、膵炎や胆石のリスクが心配されてきました。しかし最新の研究では、少なくとも肥満のある糖尿病患者様についてはリスク増加は確認されていません。
ただし、自己判断での使用は危険です。必ず医師と相談の上、正しく使っていただくことが大切です。
| 論文タイトル | Association of glucagon-like peptide-1 receptor agonists with acute pancreatitis and biliary disease in individuals with diabetes and obesity: a propensity-weighted, population-based cohort study |
| 著者 | Celia Robles Cabanillas, Isabel Hurtado Navarro, Aníbal García-Sempere, Fran Llopis-Cardona, Francisco Sánchez-Sáez, Clara Rodríguez-Bernal, Gabriel Sanfélix-Gimeno |
| 雑誌 | Gaceta Sanitaria(スペイン語圏の公衆衛生学・疫学系雑誌) |
| 年・号 | 2025年1月15日掲載予定、Vol.39, 論文番号 102444 |

