片頭痛
どのような病気?
- 10〜30歳ごろに発症し、右や左など片側優位にずきずきとした拍動性の頭痛を特徴とする
- 加齢とともに頻度は減少し、日常生活に与える影響も少なくなっていく
疫学
- 日本国内の頭痛患者は4000万人と推定され、なかでも片頭痛の有病率は840万人にのぼるとされる
- 片頭痛の有病率は8.4%で、女性の有病率は男性の3.6倍
- 20〜50歳代に多く、40%以上に家族内発症を認め、特に母親に頭痛を有する事が多い
症状
- 視野の中心が見えにくくなる、ぎざぎざとした模様がみえるなど視覚的な前兆の最中あるいは消退後1時間以内に、通常反対側の前頭〜側頭部に拍動性の頭痛が出現する
- 痛みのピークが過ぎるとズーンとした痛みに変わることがあり、患者の半数以上は拍動性ではないと感じる
- 約60%は片側性であるが、常に同側とは限らず反対側に痛みが起こったり、両側に起こることもある
- 1〜6時間増強したあと、通常4〜24時間で消退し、長いときは3日間持続することがある
- 前兆とは頭痛発作の前に認めるか、あるいは頭痛と同時に起こる脳の局所的な神経症状で、視覚症状、感覚症状、言語症状がある
- 最もよくみられるのは視覚症状で、閃輝暗点が多い。閃輝暗点とは、視野の中心が見えにくくなり、その周辺にきらきら輝く鋸歯状の模様が見えるもの
- なお、前兆のない片頭痛は前兆のある片頭痛より約2倍多いとされる
原因
- 血管や三叉神経を起源とする末梢説と片頭痛発生器官や下行性痛覚抑制系を重視する中枢説があり、両者とも関与しているとされるが詳細は不明
誘因
- 身体・精神的因子:疲労、ストレス、激しい運動、性交、睡眠不足・過多、空腹など
- 食事因子:チョコレート、コーヒー、紅茶、熟成チーズ、ソーセージ、柑橘類、海藻、香辛料、ナッツ、飲酒など)
- 薬剤:経口避妊薬、エストロゲン療法・離脱、亜硝酸・降圧薬などの血管拡張薬など
- 環境因子:入浴・冷暖房による温度差、騒音、炎天、気圧差、臭気など
- アレルギー性因子:アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、気管支喘息など)など
治療
- 発作時に内服する治療薬としてアセトアミノフェン製剤、非ステロイド系鎮痛薬、トリプタン製剤、エルゴタミン製剤が主に使用される
- ただし、エルゴタミン製剤は従来広く使用されていたが、発作の早期にしか有効でないこと、吐き気や嘔吐などの副作用が多いことなどから使用頻度は減ってきている
- 月に10回以上発作のために薬を服用する場合は、薬物乱用頭痛を起こさないように抗てんかん薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、抗うつ薬などの予防薬を投与する
- 妊娠中にも予防治療が必要な場合は、β遮断薬を用いる